4年前まで、一歳違いの2匹の兄妹のフレンチが家族の一員だった。
ある日、何の前兆もなく突然妹のはなが逝ってしまった。
業者に火葬を依頼して、車に花を敷き詰めた棺桶を積んだとき、めったに自分から単独で玄関を出ない兄のわさが、階段を転がるように飛び出してきて、妹の乗った車に吠え出した。妹が他人に取られると思ったのだろう。
妹は遺骨になって帰ってきたけど、兄のわさは3か月後に妹を追って逝くまで毎日玄関やドアの前に座ったりして妹のはなを待っていた。妹と一緒に庭を走りまわったのを思い出しているのか窓越しにじっと庭をみる時間が増えた。兄は妹が以前の様に、庭から駆け上がってくるのを心待ちにしていたのだろう。
今でも事務所と家には兄妹の写真を飾り、自宅には過去家族であった5匹の位牌と遺骨を祭って毎日お参りをしている。犬は人間以上に純粋なこころを持っているのだとしみじみ感じられた。忠犬ハチ公的要素はすべての犬にあるのだろう。
3か月後に妹の後を追って旅立った兄のわさは妹に追いついただろうか?
今頃は兄妹で天国で走り回っているだろうが、正直、今でも5匹とも帰ってきて傍にいて欲しいと思う。